「とんでもございません」は誤用ではなく正しい日本語だった!

とんでもございません

とんでもございません。ドラマでも、普段でもよく聞く言葉です。実は文部科学省にも認可されていた「とんでもございません」という言い方、資料をも見ながら詳しく説明します。

「とんでもございません」という言い方、謙遜する意味もこめて普段からふつうに使っていますが、従来は誤用とされてきました。…とはいってもなぜ「とんでもございません」が誤用ではなくなったのでしょうか。またこれを機に敬語の使い方についても考えてみたいと思います。

 

とんでもございませんは従来間違いとされていた

この記事を書くにあたり、「とんでもございません」が誤用だとされていたことにすら気がつかなかったということはさておき…よく褒められた時に「恐縮です」という意味で「とんでもございません」と言いますが、それは間違いとされてきていました。

では「とんでもない」とはもともとどんな意味なのでしょうか?三省堂『新明解国語辞典』には…

とんでもない→形容詞、「途でも無い」の変化とあります。途=道筋という意味から、本来の道理から離れているという意味で「途でも無い」が変化して「とんでもない」ということになったのだそうです。そのため、とんでもないという言葉で一つの形容詞なので、とんでもないの「ない」の部分をなくしてございませんに置き換えるのは誤用だとされてきたそうです。

そして正しくは「とんでもないことでございます」とされていました。先にも書きましたが、とんでもないで一つの形容詞です。そのため丁寧語にするためには「とんでもない」+「こと」にして「とんでもないことでございます」というのが正しいのです。

 

実は文部科学省で認可されていた!

しかし平成19年にまとめられた「敬語の指針」(参考URL https://keigo.bunka.go.jp/guide.pdf)第3章「具体的な場面での敬語の使い方」によると…

「相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり,現在では,こうした状況で使うことは問題がない」とあります。

なんと従来間違いとされてきた「とんでもございません」は文部科学省では認可されているというのです!

 

使い方を間違えてはいけない

では誤用じゃないから使っても大丈夫かと言うと、まだ「とんでもございません」の説明には続きがありました。

「とんでもございません」は相手が褒めてくれたことに対して謙遜して否定する場合に用います。「敬語の指針」では部長から褒められた時に「とんでもございません」と言う例を用いて説明されているのですが、この場合、「とんでもございません」の代わりに「とんでもないことでございます」と言ってはNGなのだそうです。

なぜなら「あなたが褒めたことはとんでもないことだ」という意味にも受け取られる恐れがあるからだと説明されています。

「とんでもございません」は相手から褒められた時に謙遜していることはすぐにわかりますが「とんでもないことでございます」と言ってしまうと謙遜の意味として相手が受け止めてくれるかわからないというのです。

う~~ん、難しいですね!

 

それでも抵抗を感じている人もいなくもない…?

文部科学省が「敬語の指針」を出していても、知恵袋やNHK文化研究所のHPを見に行くと「とんでもございません」は誤用なんじゃないですか?という質問を見かけます。やはり気になる人には気になるようです。

NHKの文化研究所のHPのコメントを読んでいると、放送する上では本来の使い方・伝統的な語形・用法をよく認識したうえで容易な使用はさけるべきだとあります。
参考URL:https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/183.html

 

私たちはアナウンサーではないので日常会話の中で「とんでもございません」を使う分には大丈夫だと思いますが、見ず知らずの人、目上の人のお手紙やメール等では相手が気にする人なのかどうかわかりませんね。分らない場合は無理をせず「恐れ入ります」「恐縮です」といった別の言葉で置き換えるのも手なんじゃないかなと思います。

 

使う場面に応じたほうが良い?

「とんでもございません」は誤用ではないですが、相手によってとらえ方が違うこともあるかもしれないという話はしましたが、よく正しい使い方なのかどうか議論の引き合いに出されるのが「よろしかったですか?」といった言葉もそうですよね。

この記事を書くにあたって最初は「とんでもございません」でも「とんでもないです」もどちらでも意味が通じればいいんじゃないかと思っていました。

しかしいくら敬語といえど(もしかすると敬語だからこそなのかもしれませんが)「とんでもございません」「よろしかったですか」といった言葉の使い方が正しいのかどうかを感じる人もいるというのは、その言葉を受け取った側の気持ち次第という気がします。

「よろしかったですか?」の例を挙げると、お店で「よろしかったですか?」と確認されるとこちらの言っていることが間違っていると指摘されている気分になるというのです。

私は「よろしかったですか?」「とんでもございません」で違和感を覚えたことはないのですが、「させていただく」という言葉で違和感を覚えたことはあります。

アルバイトさんに仕事をお願いしたときに「では、やらせていただきます」と言われたとき、違和感を常に覚えていたことがあります。

こちらが仕事をお願いしたのだから「やらせていただきます」だととても大げさに聞こえてしまいます。言っている側はとても丁寧にしているつもりなのだと思いますが、あまり相手に違和感を与えるような言い方はかえって効果がないですね…汗。

敬語の使い方も従来誤用だとされていたものが正しいと言われたりと、常に変化していますが、使う場面や使い方はその都度変えていくしかないのかなという気もします^^;。

う~~ん、日本語ってほどほどに難しいもんなのかもですね!

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