できれば来てほしくないのが苦情というものですよ。
ですが、きちんと応対をしていれば大きくならないものがほとんどなんですよね。
また自分の気持ちの持ちようで乗り越えられるものもあります。
今回はそんな苦情の対応方法などを具体的な例も挙げながら紹介します。
その苦情、自分は全く関係なくない!?
もちろん自分が原因の苦情もありますが、何故か自分は全く関係ないのに苦情を受け付けないといけないこともあります。
自分がやっていないことでも責められ、謝らないといけないこともあります。例えば子供たちの下校のマナーが悪いと「学校でどんなしつけをしているんだ」と電話がかかってくることがあります。
事前に子供たちにも「近隣にいろんな人が住んでいるから静かにしようね」と言っても、つい忘れてしまって騒いでしまうこともあります。まぁそれも「教育によるしつけ」だと言われればそれまでなのかも知れません。
苦情の電話がかかってくると「なんで自分がやったことでもないのに謝らないといけないのだろう」と思いますし、
その電話を取った後に上司に報告すると「じゃあ保護者にも連絡を入れておいて」と言われて電話をし、あったことを伝えると「うちの子がそんなことするなんてありえない」という反応が返ってくることもあります。
こうなると自分の本音は一旦脇に置いておいて「すみません…」と頭を下げ、終わるのを待つしかありません。
反論をすれば火に油を注ぐだけです。
考え方を変えれば、自分がやったことではなく、仕事だから自分がやってないことで謝らないといけないこともあると割り切るというのもありです。そうすると、たまたま対応をしている自分に怒りが向いているだけだと思うと自分が責められているわけではないので、少し気が楽にはなります(怒鳴っているのを聞くのはつらいですが…)
苦情とはなんぞ?
苦情とはいったいなんだろうかと思った時、この自分の怒りを「知ってほしい」「わかってほしい」ということ
なのだと思います。
そう思ったのは私が今度、新人さんを育てないといけないときに感じたことがきっかけです。
初めてだから仕事ができないのは仕方ないことだというのは自分で嫌と言うほどわかっていたのに、いざ自分が新人さんを育てる立場に立つと、新人さんについ言いたくなることが多いのです。
自分がされた嫌なことを今度は自分が誰かにするのではないかと思うと、新人さんの仕事を手伝うのがだんだん苦しくなったんですよね。
なぜ自分がそう思うのか考えると、
「この新人さん、自分の仕事が私の仕事を邪魔をしているのを全く分かっていない」
という本音があったからだというのに気がつきました。
苦情の対応の仕方・・・芽は小さいうちにつんでおく
今までやったことがない仕事で苦情が出てきてしまうことは仕方がないと思います。
小学校で働いていた時、上司からは「あなたみたいに要領が悪い人、見たことない」と言われましたが、学童保育へと転職した後にも、教員1年目の人を見かけるとやっぱり私と同じことを言われているようでした。
仕事に慣れてきてから思ったのは、未然に防いでおけば苦情につながらないケースも多かったのではないかと思います。
例えば学校だと子どもたちはよくケンカをします。そのケンカをきちんと解決しないまま子どもたちを下校させると、家で学校であった事を話します。ケンカをしてまだ解決がされていないとなるととても心配して翌日の連絡帳に「どうして学校で起きたことを解決してくれないんですか?」という趣旨のことが書いてあるのです。
私の「指導」をしていた先生はベテランの人だったのですが、「子ども同士のトラブルは子ども同士で解決すればいい。大人が口出しをするの変だ」と言っていました。
私も本音はそう思います。しかし、私の本音はそうであっても学校に行きたがらないお子さんを見て、たまらず連絡帳に
書いた保護者の気持ちは「解決してほしい」のです。
何を最初にしておかなければいけなかったのか今回の例でいうと、自分の本音はどうであれ、「子どもたちが納得するかたちでケンカの仲裁をする」というのが最優先だったのです。これは放っておいたらあとで大変なことになりそうだと思ったら、すぐに周りに相談をして対処をしておけば苦情につながらず、終わることが多いです。
またその日に起きたトラブルはその日の内に職場で解決してから帰るということも大事なことですね。
それでも苦情が来てしまった場合の受け止め方
未然に防げることをしておいたのに、苦情がくることはよくあります。苦情を聞くのってホント辛いですよね。
苦情を穏やかに言う人はほとんど見たことがありません。だいたい針でチクチク指すような言い方をする人、あるいは最初から怒鳴っている人…様々です。
そんな中、冷静にその苦情を受け止めるというのも無理な話です。つい言い返したくなることもあります。なんで自分は悪くないのに、仕事とはいえ頭を下げないといけないのだろうという思いもあります。
では私自身は苦情や文句を全く言わない人間なのかと言うとそんなことはありません。文句が言いたくなる時、たいてい「こんなにひどい目にあっているのにどうしてわかってくれない?」という思いが必ずあります。
なので苦情を言いに来た人もまず頭には「このひどい状態をわかってほしい」「せめて頭を下げてほしい」という思いは少なからずあると思います。謝って済むのであれば「気が付かず、すみません。」と謝ったほうが無難でしょう。
自分一人で苦情に立ち向かおうとしない
苦情の中には謝ってそれで終わりのものもあれば、謝罪だけに終わらず、きちんと解決をしないといけないものもあります。多くの場合、謝罪で終わるもののほうがまだ性質がいいことがあります。解決をしないといけない場合の苦情であれば、自分一人で解決するのは禁物です。苦情を言っている相手は、自分の言った苦情にどのように対応をしているのかという姿勢も見ているからです。
私の場合、解決が必要な苦情が来た場合、自分で出来うる解決策を考えます。そして「このように解決をしようと思いますが、大丈夫ですか?」と上司に伺って「こうしたほうがいい」等意見をもらってから解決をするようにしていました。
また苦情の中には自分に向けられたものだとしても、組織として対応をしないといけないこともあります。組織として対応が求められている場合は、自分にできることはほとんどないので上司の指示に従うしかないです。
問題が解決をしたら、あるいは解決に時間がかかりそうな場合は経過報告を苦情を言ってきた相手にも報告をします。(もちろん相手に伝える場合は事前に上司に伝える旨を言います。)これは絶対重要です。相手も自分が言ったことをきちんと聞いてもらえているのかどうか気になっているからです。苦情を言ってきた相手に報告をすると、安心をして苦情を言ってこなくなります。中には問題があるごとに言いに来る人もいますが、きちんと相手が納得したかたちで解決をしておけば最初に比べてだいぶ穏やかになっていることが多いです。
どんな苦情が来ても自分を責めない
これはめちゃくちゃ重要です!普通、苦情が来た時の対応として「どんな苦情が来ても相手を責めない」というのが先でしょう。
けれども私は苦情が来た時、まず「自分」を責めないで欲しいと思っています。
なぜなら苦情をまともに浴びるとつらいし、感情的になって冷静な対応ができなくなるからです。また全ての苦情が自分が原因で起こっているとも限らないからです。もちろん、冷静に振り返ることは必要ですよ。ですが苦情対応のセルフマネジメントとしては、自分のミスで、謝ったのにまだ相手が怒っているときがあっても「次は気を付けよう」と気分を切り換えたほうがいいです。
苦情を真剣に受け止めすぎて、精神が病んでしまった時、その苦情を言ってきた人は責任をとってくれるのでしょうか?
友達や家族など周りは自分の精神状態を立て直してくれるでしょうか?
苦情を自分にシャワーのように浴びせてきた人は「こんなこと言ったら傷つくだろうな」なんて思わず、こちらの精神がどうなろうと想像せずに苦情を言います。
自分を守ることはとても大切なことだと私は思います。なので苦情が来たとしても自分を責めるのはやめたほうがいいです。それよりも次回、自分にシャワーのように苦情を浴びせて来る人にどうやって対応したほうがいいのか、同じことを繰り返さないように気を付ける方法を考えたほうがいいです。
どんな時も相手も責めない、相手の非を指摘しない
小学校で働いていた時ほどではなかったのですが、学童で働いていた時も苦情はきました。私も苦情の対応についてはまだ研究をしていかないといけないのですが、「相手を責めない」というのは鉄則です。
保護者と面談をするとき、「何かうちの子が悪いことをしてしまったらいつでも連絡をください」とか「自分の子供がよそで悪いことをしているのに知らないのは恥ずかしい」と言って下さるのですが、実際にその子が友達のもちものを壊してしまった、放っておけばいじめにつながりかねないことをしているという場合は保護者に連絡をしないといけないことがあります。
けれども「~ちゃん/君が今日、こんなことをしていました」とありのままを伝えると相手の保護者を傷つけることになります。いくら連絡くださいと言っても、自分のお子さんのよくないことを伝えられると傷つきますし、人によっては怒る人、「それは先生の指導が悪いんでしょ?」とこちらを責めてくる人もいます。
どんなに相手が悪かったとしても、自分にも非はなかったかどうか確認をすることは必要です。
その上で、「実は今日学童でこういうことがあって、このように指導をしました。こちらもお子さんをきちんと見ていなくて、ご心配をおかけしてしまいすみません…。」と相手よりも先に謝ってしまいます。たいていの場合、それで解決をすることが多いです。
いざというときの味方を日ごろから作っておく
苦情の対応として一番大切なのは一人で解決をしないことです。自分に向けられた苦情だとしても、会社などの組織の一人として仕事をしている以上、苦情が来た場合は恥ずかしかったり、上司に報告をするのが怖くても報告はしたほうがいいです。
小学校から学童保育に転職をした時、隣のデスクに座っていたベテランの先生から「まず職場に味方を作っておいたほうがいいよ。苦情は一人で対応をするとツライからね。」とアドバイスをもらいましたが本当にその通りでした。
学童保育でも下校したはずの子供が行方不明になって保護者から電話があったり、保護者じゃなくても下校途中の子供たちが周りの人に迷惑をかけて、苦情の電話が入ることもありましたね。でもどんな苦情が入った時も一人で対応をすることはありませんでした。中には全然関係ないのに私の苦情対応を手伝ってくれる人もいました。
いざという時に味方になってもらうのに気を付けたのは、常に自分一人で仕事をしているというわけではないこと
に気を付けることだと思います。小学校に勤務していた時に苦情対応で苦い経験をしたのは初任で仕事を覚えるのが大変だと自分の仕事で精一杯で周りの仕事に目を向けられていなかったからだと今になって思います。
日ごろから周りの人の仕事にも目を向けながら自分の仕事を一生懸命こなしていくことが大切なのでしょうね。
身内で苦情を言いに来る人には…
一生懸命やっていても苦情がこないとは限りません。それでもまだお客さんなど組織(職場の外)からの苦情は、職場内の人間関係が良好であればうまく解決できることが多いです。問題は職場内の人間関係がよくない場合です。
職場内に苦情を言いにくる人がいる場合はとても大変です。一生懸命こちらがやっていても、ダメなところを探してどんどん指摘してきたり、「自分の場合はこうする」と言いに来る人です。
まともにその話を聞いて対応をしていると、足の引っ張り合いをする場合が多いです。なぜなら自分の中では「その話を早く終わらないかな」「ごちゃごちゃうるさいな」と不満をもっている場合が多いからです。
不満の態度ほど自分が思っている以上に相手に伝わることが多く、なかなか相手の話も終わりません。また浴びせるようにこちらに苦情を言っておきながら「あなたのせいで仕事が終わらない」と言う人もいます。
そういう人に出会ってしまった場合、私は自分が病んでしまっては大変なので転職を考えますが、簡単に転職ができない事情も中にはあるかと思います。職場内で繰り返し苦情を言いに来る人の場合、自分にだけ言ってくるのかと言うと、そうでない場合が多いです。むしろいろんな人に言っていますし、よく周りの人を観察してみると周りの人もその人に萎縮をしていることが多いです。
私の場合、最初の職場でよく別室で呼ばれたのですが、周りの人は仕事しながらよく見ていて「今日も呼び出されていたけれど大丈夫だった?」と声をかけてくれることもありましたし、中には「(上司が言うように)思っていないから気にしなくていいよ。」と言ってくれることもありました。
自分に言いに来る人を変える難しいので、自分の考えをなるべく明るいほうへと向くようにします。自分の態度が悪いから相手が言ってくるとも限らず、言ってくる人自身が問題を抱えている場合も多いです。
相手を責めないこともそうですが、自分を責めないこともやはり大切です。
苦情対応のまとめ
話が多岐にわたってしまいましたが、どんな苦情がきても「相手を責めない」「自分も責めない」ことがとても大切です。苦情を聞いている間は相手を責めるような言い方をしてはいけないですし、苦情の対応をしている間もしくはそのあとも、「どうして自分は・・・」と自分を傷つけるようなことをしてもいけないと思います。
「なぜ」「どうして」と思ってしまうと、その時点で思考が解決のほうではなく、相手や自分を責める理由を探すほうへと向いてしまうので、「どうしたら」「どのようにすれば」と置き換えてみてください。
この方法でやってみると思考がおのずと問題を解決する方向へと考え始めます。